宗徳寺 圓妙山の副住職
蓮の8つの徳(特徴)
先日、檀家さんから「古代蓮」を頂きました。
その蕾が今朝開き、美しい蓮華を見させて頂きました。

さて、皆様
蓮には8つの徳(特徴)があることをご存じでしょうか?
良い機会を賜りましたので、ご紹介いたしますね。
【 蓮の八徳 】
その① 華果同時 ケカドウジ
おおよその植物は「花」の後に「実」をつけます。
蓮は花が咲いたその時、「既に・同時に」実をつけています。

画像のピンク色が「花」。中央の黄色部分が「実(種)」です。
だいたいは、中央周りに見える「おしべ・めしべ」があるだけですよね。
こちらは、「どの命にも仏になれる性質がある」ことを意味します。
また、「今の結果は、次の原因となる」ことを意味しています。
オギャァと生まれたその時は、だれでも「無邪気」ですよね!
その② 泥中不染 デイチュウフセン
蓮はにごった泥に咲き、決して「泥」色に染まりません。
こちらは、周囲に染まらない「きれいな心を保つ」様子。
職場や仲間内にうまく馴染もうと、無理に「同調」しがちな私たちです。
結果、それに疲れてしまう、なんてこともしばしば。
やっぱり無理はいけないんでしょうね。。。
その③ 一茎一華 イッケイイッカ
蓮は一つの茎に一つの花をつけます。
こちらは、「必要以上を望まない」様子。
難しいですねぇ。私なんかミニトマトのように「鈴なり」ですもの。。。
その④ 蓮糸織布 レンシシキフ
蓮の茎から作った糸で着物が折れます。
着物(服)は身体を「包む」もの。
「慈悲の心で相手を思いやる」様子。
「慈悲」と聞くと構えてしまいますが、ちょっと想像してみてください。
自分が赤ちゃんを抱っこしているとします。
その赤ちゃんが、不意に泣き出した。
「おむつかな?ミルクかな?暑いのかな?寒いのかな?」
おそらく無意識に赤ちゃんを「思いやる」のではないでしょうか?
その感覚・気持ちを「他」にも配ることが大切なようです。
その⑤ 蓮根食用 レンコンショクヨウ
ご存じ「レンコン」は蓮の根っこです。
食べられますよね。きんぴらとか最高。。。
味うんぬんは置いといて、
こちらは、「自分の身を犠牲にして相手を生かす」様子。
「わが身を犠牲にする」エピソードはお経や、「お釈迦様の前世物語シリーズ」である『ジャータカ物語』なんかにもよく出てきます。
私がすぐ思いつくのは『雪山童子(せっせんどうじ)』のお話。
だいたいこんなエピソードです
あるところに賢い子供がいた
子供はどうしてもお経(仏さまの教え)をコンプリートしたい
あと2句でコンプリートだが
その2句を知る者も、書物も見当たらない
どうしたものかと歩いていると
腹をすかした鬼と出会った
「ワシに食べられてくれるなら、知りたい2句を教えてやろう」
子供は喜んで条件を承諾
鬼に最後の2句を教わりコンプリート
仏さまの教えに感動しよろこんでわが身を鬼に捧げた...
こちらの「子供(童子)」はお釈迦様の前世の御姿、とされています。
中々できないですよね
というか
できないですよね。普通。。。
童子にとって、仏さまの教えを得る「感動」はそれはそれは大切なことだったのでしょう。
中々気軽に「知りたいこと教えるから食べていい?」「オッケー」とはいきませんが
「自分の力・能力を使って他を活かす」ことは挑戦できそうです。
「自分の力・能力」なんて大層なこと言ってますが、ようは「誰かの為に一所懸命になる」ことです。親が子の為に。先生が生徒の為に。上司が部下の為に。
その⑥ 不着水滴 フチャクスイテキ
蓮の葉は水をはじきます。葉の上に水滴が落ちても、ツッ―っとしたたり落ちていきます。
こちらは、「執着心の無さ」を意味します。
いきなりですが私、「ひとめぼれ」気質です。
「いいな」と思うと、中々他所に目移りしません。
もう超「執着」心ですよね。。。
気をつけねば。
その⑦ 蓮果薬用 レンカヤクヨウ
蓮の実は薬になります。
こちらは、「苦しむ人の苦しみを治し、助けとなる」様子。
身近なのは「よりそう」ことですかね。
身近ですけど難しいんです。「よりそう」って。
どうしても主観が入っちゃいますから、その人の「苦しみ」に「そのまま」よりそうことは大層難しい。
ですが、そのままよりそってくれると、その苦しみは「少し」楽になるそうなんです。
あの手この手、ではなく「ただただ気持ちによりそう」ことが時には「薬」にもなります。
その⑧ 蓮台乗仏 レンダイジョウブツ
「如来」「仏」を表す仏像の多くは「蓮」に立つ・座っています。
こちらは「仏さまほどのお方をお載せする尊い境地」を意味します。
「尊い境地」って結局分かりにくい。。。
年を重ねると中々素直に自分から「他人を担ぐ為の台」になんてなりたがりませんよね。
それを進んで行うこころもちが「尊い境地」のスタートでしょうか。
以上8つの蓮の徳(特徴)でした。
お坊さんですが、
出来ていない、蓮を見習わなければならないことだらけでお恥ずかしい。
精進してまいります!!!